注目の投稿
メロンの食べ頃とは?
メロンを売るとき、お客様によく聞かれるのは、「食べ頃はいつなのか」という話です。
私が食べ頃を判断するために利用しているのが、以下の2つの要素です。
(1)受粉からの日数
メロンは刷毛などを用いて人工交配しています。人工交配ではすべて着果するわけでもありませんし、多めに着果して摘果する場合もあります。最終的に1果に残したとき、その花の受粉日を記録しておき、種苗会社が定める収穫適期日数(品種により受粉から57日~60日ぐらい)に達したとき、食べ頃という判断をします。
(2)茎葉の様子や果実の色味
熟してくると、果実のすぐそばにある葉が黄色く変色してきます。さらに果実近くの巻きひげも茶色く枯れてきます。また、果実も少し黄色みがかってきます。
こんな状態を目で確認して、食べ頃という判断をするときもあります。
私の場合、(1)を重要視しています。なぜなら、メロンやスイカを専門とする種苗会社から、「収穫適期は受粉からの日数以外の要素では的確に判断できない」という助言をもらっているからです。露地栽培でスイカを作っていたときも、(2)のような果実の外見で中味を正確に判断することはできませんでした。おそらくメロンも同じで、受粉からの日数が一番確実な指標だと考えています。
しかし…です。
そもそも食べ頃の定義って、お客様それぞれで異なりませんか?
これ、野菜が「甘い?」と聞くことと同じです。トマトでも「甘い?」と聞かれると答えづらいものです。なぜなら、「甘い」という言葉がものすごく客観的な表現で、どんな状態を甘いとするのか、お互いに不明確だからです。糖度計で○○以上なら甘い、とするなら答えは簡単ですが、単に「甘い?」と聞かれても、農家としては答えようがないのです。トマトならまだ良い方で、ナスやレタス、キャベツ、きゅうりなどの甘くない野菜に対して「甘い?」と聞かれることがあり、正直なところ答えられません。
メロンにおける食べ頃とは、おそらく甘さとやわらかさを示すのではないかと勝手に思っています。メロンの甘さは果実がある程度熟してくると、それほど変化しません。日々変わるのは、果実の「やわらかさ」です。
甘くてトロトロな感じを好まれたり、少ししっかりしている柔らかさがあるほうが良いという方もいらっしゃると思います。トロトロな感じを好まれるとすれば、それはお客様ご自身で判断いただくしかありません。完熟したメロンはやわらかくなるスピードがとても早く、1日2日違うだけでかなりやわらかくなってしまいます。下手をすると過熟になってしまい、ドロドロしたメロンになってしまいます。
さすがに外見からは正確なやわらかさを見極めることができず、ある程度リスクの少ない「受粉からの収穫日数」を食べ頃の判断にしています。この判断では、メロンの果実は比較的硬い感じもします。しかし、熟すという過程はすでに完了しているため、甘さはほぼ固定されていて、日々果実がやわらかくなるだけです。
食べ頃はいつ?と聞かれたとき、本当であればお客様それぞれの「食べ頃」の定義を聞き出さなくてはいけないのですが、短時間ではうまく共有できません。なので、(1)で判断した日を食べ頃としてご説明しています。
もし、メロンを切ってみて「まだ固い」という状態でしたら、そのままラップをかけて冷蔵庫で保存してください。2日おきぐらいずつ試食をしてみて、ご希望の硬さになったら食べてくださいね。